不動産ファンドとはどういうものか?

スポンサードリンク

昨今の賃貸マンションブームに不動産ファンド

昨今のマンション建設ラッシュは不動産ファンドが作り上げたものです。

そのファンドもサブプライム問題とともに一斉に引き上げてしまいましたが・・・・

これらの不動産ファンドにより、首都圏だけではなく、地方都市(札幌や福岡など)にも大型の賃貸マンションが建設ブームとなり、一部では供給過多で空室が多いマンションが目立ってきています。

不動産ファンドの多くは機関投資家(企業年金基金や生命保険会社などの預かり金を運用している法人など)に出資を仰ぎ、それを元手に金融機関からノンリコースローンを組んで大規模なマンションを買います。そしてその運用益(家賃収入)と売却益(多くのファンドは物件を取得してから3〜5年で取得物件を売却します)から出資者に配当をしてファンドの解散・終了となります。

このことは実は、ファンドが解散するまで不動産市況が好調なままであろうという前提の元に仕組まれていますので、最近のような上場REITまでが破たんする状況にまで不動産市況が悪化してくると、ファンドが取得した物件を高く売ることは難しくなります。

ただ、ファンドと称して出資を募っている以上、一定の時期にファンドは解散せざるを得ません。その際は叩き売ってでも物件を売却し、損失及び利益を確定し、各出資者に配当しなければならないのです。

ちなみに、今年から来年にかけて解散を迎える不動産ファンドは多いですから、賃貸マンションのバーゲンセールになるかもしれませんね!

不動産ファンドの利益の構造

不動産ファンドの利益の構造はどうなっているのでしょうか?

仮に「ABCファンド」というものを立ち上げて、各機関投資家に売り込んで、とりあえずは5億円の出資が集まったとしましょう。この際に年間配当10%程で売り込んだとします。

そこで、ABCファンドのファンドマネージャーはこの物件を取得し、運営する目的に特化した会社(SPC)を作ります。そしてSPCが集まった5億円を頭金にして金融機関から5億円のノンリコースローンを受け、10億円の賃貸マンション1棟を買ったとします。銀行への返済は、5年後の一括返済で、年間利息3%だとします。

取得した物件は、都内の大学の近くで、年間の家賃収入が9,000万円だとしましょう。

すると以下のような計算が成り立ちます。

年間収益          9,000万円

ローン金利        ▲1,500万円

出資者配当(5億×10%) ▲5,000万円

------------------------------------------

差 引           3,500万円


この年間3500万円はどこに行ってしまうんでしょうね?

気がつきましたね!そうです。ファンドの収入です。多くはファンドマネージャーの収入でしょう。

何!?そんなにファンドの中の人間はそんなに儲けてるのか?って怒ってもダメですよ。だって、出資者にはちゃんと10%分は配当しているじゃないですか?きっと文句は出ないはずです。それよりも物件選定やローン手配、プロパティマネジメントなどの面倒はしたくないからそれらをファンドマネージャーに任せたんじゃないですか。だからこの位利益を上げても良いんです。

でも実際には様々な経費が掛かりますから、この3,500万円が丸々利益ってことは無いでしょうし、SPCを立ち上げる時にも諸経費を抜いた概ね90%以上を配当する、という規定がありますから・・・・ちなみにファンドマネージャーの報酬は「諸経費」に該当します。

不動産ファンドの破たん

もとより、SPCと言うのは倒産隔離されて設立されていますので、不動産ファンド会社が倒産したとしてもその出資者(SPC)への出資者には影響ありません。

ただ、このような場合は不動産市況が悪化していると言うことでしょうから、先に述べた例のファンドの場合、ファンド終了時に物件を希望の価格で売れないことが考えられますね。上の例だと10億で取得した物件は10億以上で売れると踏んでファンドを組成しています。

もし、ちゃんと10億以上で売れれば、出資者も出資金が戻ってきて、その間の配当も合わせて2億5千万以上に達し、銀行も5億のローンを返済してもらい、ファンドマネージャーも1億5千万程の報酬になったはずです。

でも仮に5億でしか売れなかったらどうしましょう?銀行は必ず回収しますので、出資者の出資分は戻ってきません!

また、仮に、銀行がローンの返済期限を5年延ばしたとします(リファイナンスと言います。現実的には、新たに5年のローンを組み、今までのローンを完済すると言う形をとります)。すると出資者はその間に配当金の累計で出資額を超えますから(順調に家賃収入が入って来たとして!?)元本割れはないでしょう。でも銀行がこのように返済期限を延長してくれなかったら?

そうですね。叩き売るしかありませんよね。もし6億で売れるなら、銀行には5億返して1億を出資者に配分できます。

最近の市況では、このように叩き売るしか方法が無いようです・・・・怖いですね不動産ファンドって。ちなみに、このファンドに出資しているのはあなたの会社の年金基金からかも知れませんよ?あなたの知らないところでこのようにあなたの生活にも影響が出てきているのです・・・・・

スポンサードリンク